読書馬鹿力

2012年01月27日

火星の挽歌 アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター

むぉーっ、まさにSF。むかしながらのSF。

リボン状の宇宙エレベーターくらいはなんとかわかる。
その他の新しいアイデア、クラークのことだからたぶん突飛ではないに違いない、には理解が及ばない。
なにかと置いてきぼりになって、筋が追えなくなって、半分くらいで挫折。

たださすがだなと思ったのは、想像力が尽くされていること。
科学的な面だけではなく、そこに生きる人たちの思考行動パターンに説得力がある。
天才ストーリーテラー。

ひとつだけひっかかったのは、アジア人は家でガウン着ないってこと。
こんなくらいですみません。天国はちょっとだけ宇宙に近いですか〜?

4152092599火星の挽歌 (海外SFノヴェルズ タイム・オデッセイ3) (海外SFノヴェルズ)
FIRSTBORN 2008

Arthur C. Clarke and Stephen Baxter 小阪 淳

早川書房 2011-12-07
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2012年01月26日

ゴースト・トレインは東の星へ ポ−ル・セロー

どんなに大御所でも、面白くない人間が書いた旅行記って◎◎と一緒ね。
売れて腹立つからさらに悪いか。
だからアメリカ人は、とステレオタイプなことがいいたくなってしまう本。

旅行記って書いたもん勝ちみたいなところがある。
日本にもそんな作家もどきがチラホラ。

4062171678ゴースト・トレインは東の星へ
Ghost Train to the Eastern Star: On the tracks of 'The Great Railway Bazaar' 2009

Paul Theroux 西田 英恵

講談社 2011-11-26
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2012年01月22日

シャンタラム グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ

とても久々に数日後まで心に残る作品が。
それは私がインド大好きということが大きいし、インドに行ったことがないとこの作品の世界をリアルに感じることはできないだろう。

これがフィクションであれノンフィクションであれ、圧倒的な経験がもたらす密度の濃さ。
好き嫌いは別にして、こんな人生そうそう送れない。
インドの深さ、人生の深さ、を考えながら。

インドで読みたかった。
去年亡くなったインドフリークに読ませたかった。

そう、まさにインドは心の王国。

4102179410シャンタラム〈上〉 (新潮文庫)
Shantaram 2003

Gregory David Roberts  田口 俊樹

新潮社 2011-10-28
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2012年01月08日

解錠師 スティーヴ・ハミルトン

ポケミスだからミスだと思ったらYA恋愛小説だった。

時間軸通りに進む小説はないの?
近ごろはみんな行ったり来たりさせる。
そうでもしないと陳腐さが目立つのか。

解錠師、という物珍しさと、青春の甘酸っぱさ、それだけ。
金庫について書きたくてしかたないらしく、バランスが悪い。

新人作家じゃないんだね……。
エージェントに悪い具合にしてやられてるのか、各国に散らばる一生青年作家か。
いかにもなエンディングに騙されてはいけない。

4150018545解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
The Lock Artist 2009

Steve Hamilton 越前 敏弥

早川書房 2011-12-08
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2012年01月04日

緋色の十字章 警察署長ブルーノ マーティン・ウォーカー

おもしろいシリーズ発見。
ただし舞台がフランスだし、派手な事件が起こるわけでもかっこいい主人公でもないからどうかしら。

しかも邦題がこれだから。売るつもりあんのexclamation&question
十字章ってなにさ。
どうして『ブルーノ』とか『警察署長ブルーノ』じゃだめなの?

いい内容なのに1発目邦題のせい(たぶん)でシリーズお蔵入りといえば、
スチュアート・M・カミンスキー『消えた人妻』(既述)。
ほんといい作品でシリーズ通して読みたかったのに、これじゃまるでロマサス(表紙も)。

邦題のせいじゃないだろうけど第一作だけで邦訳打ち切りで残念だったのが、
スチュアート・マクブライド『花崗岩の街』。

しばらく出てから打ち切りもつらいな。ジャネット・イヴァノヴィッチとかリンダ・フェアスタインとか……。

つまりディーヴァーとかマイクル・コナリーみたいに人物なんてどーでもよくて、プロット重視あるいはかっこつけた雰囲気だけが売れるのかねぇ。

だったらこれもだめかなー。出てくる料理おいしそうなのに。

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私的評価:★★☆☆☆
読んでよかったか:ウィ

読書中:フランスにはおいしい料理とワインがかかせない、といっても筆者は英国人
お楽しみ度(行間はあるか、筆者とのかけひきはあるか、など):なし
読了直後:ヨーロッパにナチスが与えた影響って大きいな。わたしもバリバリ上をめざすより、ブルーノみたいに楽しい日々をとる。でもゆるすぎてコージー調なのが・・・
あとひき度:なし
独自性:フランス田舎の警察小説
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4488273092緋色の十字章 (警察署長ブルーノ) (創元推理文庫)
Bruno,Chief of Police 2008

Martin Walker 山田 久美子

東京創元社 2011-11-11
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2011年12月30日

第七階層からの眺め ケヴィン・ブロックマイヤー

ふむ、寓話(あとがきより)ね。なるほど。
寓話 Fableにはなにかが起こる。しかしそれは私からすると「なにかが起こるだけ」。

昔ながらの寓話と私が好きなタイプの現代文学との大きな違いは、人物描写が占める割合だ。
もし現代作家が白雪姫を書いたなら、なぜ魔女がああなるに至ったのかが語られ、最後には感情移入するだろう。

極端にいえばなにも起こらなくてもいい。ただ「ああ、そんな人知ってる」とか「そんな気持ちになるなる」と感じさせてくれれば。

静寂がわざとらしいのも、大学講義臭も、必要とあらば変人を装うことまでしそうな優等生ぽさも、YAチックなのも含め、この手の寓話はパス。

千羽のインコのざわめきで終わる物語
第七階層からの眺め
思想家たちの人生
静寂の年
壁に貼られたガラスの魚の写真にまつわる物語
ジョン・メルビー神父とエイミー・エリザベスの幽霊
(アドベンチャーゲームブック)ルーブ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂
トリブルを連れた奥さん
瞳孔にマッチ棒の頭サイズの映像が含まれている物語
ホームビデオ
空中は小さな穴がいっぱい
アンドレアは名前を変える
ポケットからあふれてくる白い紙切れの物語

4270006773第七階層からの眺め
The View from the Seventh Layer 2008

Kevin Brockmeier 金子 ゆき子

武田ランダムハウスジャパン 2011-11-17
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2011年12月25日

扉は今も閉ざされて シェヴィー・スティーヴンス

胸くそ悪い。
なぜこういう本を書こうと思うのか。
フィクションにはなんでもありで、こういう世界を知ることも必要で云々、いろいろ考慮してもここになにがあるのかわからない。
よく書けてる、これだけなら作文講座でAでも取ってて。

邦題もひどい。

4151793011扉は今も閉ざされて (ハヤカワ・ミステリ文庫)
Still Missing 2010

Chevy Stevens 小田川 佳子

早川書房 2011-11-25
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2011年12月22日

抱擁、あるいはライスには塩を 江國 香織

ミクロの視点から見れば、それなりによくできた日本らしい小説だった。
マクロの視点では「だからなに」だ。

大家族もので、これといったドラマチックなことがなくても、なにか残る作品はある。
これはただ書かれただけ。

作家からしたら一つの大家族をこれだけ描けば愛着もわいただろう。
私としては低め安定点から出ない作品を読む時間がもったいなかった。

米国のように強力エージェントがいないとこういうことになるのかな。
それとも上を目指す必要のない大作家先生になったのかな。

4087713660抱擁、あるいはライスには塩を

江國 香織

集英社 2010-11-05
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2011年12月16日

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ジョナサン・サフラン・フォア

今年2冊目の泣いた本。1冊目はオスカー・ワオ(既述)。

図版や色や自由な版組を使うヴィジュアル・ライティングが増えてきているのはWebの影響かなぁ。
『紙葉の家』(既述)とか『紙の民』(既述)とか。なぜいままでこういう手法がとられなかったんだろうと不思議なくらいにどれもみな自然で必需。
本が表現できる幅がどんどん広がっている。

911&NYでYAチック、というとクセがありそうだけれど、被害者意識に固執せず昇華されている。
この時この街だから表現できる悲しみと喪失感と愛にあふれている。
特におじいちゃんとおばあちゃんの物語と、パパの最後のメッセージもうやだ〜(悲しい顔)

「すっごいうるさくて超近い」みたいなタイトルはNGなの?

追)ちょうど友達が試写会に行ったって
映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

4140056037ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
Extremely Loud & Incredibly Close 2005

Jonathan Safran Foer 近藤 隆文

NHK出版 2011-07-26
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2011年12月12日

オリーヴ・キタリッジの生活 エリザベス・ストラウト

お久しぶりでございます。本格的に読書再開です。

13編からなる。
どの編にもオリーヴ・キタリッジが、一人称だったり三人称だったりしながら登場、最終的に彼女はどういう人間なのかがわかったようなわからなかったような。

オリーヴからの視点、オリーヴを取り巻く他人からの視点、村の様子や歴史、いろいろな角度から語られることによって、登場人物たちがまあるい3Dの存在になっていく。

人生とはなにかとか、オリーヴという人は結局、といった結論はなにもない。
だから人間に興味ない人にはまったく面白みがないかも。
ということであえて女性的な作品といっておこう。

幸せも不幸せも内的要因に大きく左右される。

薬 局
上げ潮
ピアノ弾き
小さな破裂
飢える
別の道
冬のコンサート
チューリップ
旅のバスケット
瓶の中の船
セキュリティ
犯 人


4152091622オリーヴ・キタリッジの生活
Olive Kitteridge 2008

Elizabeth Strout 小川高義

早川書房 2010-10-22
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